narrative voyage ~旅と今ここを見つめて

多様な世界を感じるままに。人が大切な記憶とつながっていくために。

この空の向こうに② ― Happy Easter Holiday & My days in Aotearoa

 

先週末、参加したワークショップでとても素敵な仲間たちと出会った。

SNSのチャットグループをつくってもらったのだけど、自分はその背景画面を

ちょっと色のあるものに替えてみたくなった。

 

この時季にぴったりな背景デザインに目が止まり、迷わず設定した。

イースター” …!!

 

日本では「卵の形をしたチョコを食べる」「うさぎがキャラ的に登場する」

ぐらいのイメージしかなかった、キリスト教の行事である。

 

20年近く前の、4月のあの日、私は南半球で思いがけなくこの行事を体験した。

その国はニュージーランド

 

私は滞在して半年が経った頃で、すでに南島を一周していたが、

日本から友人が休みを取って遊びに来たので、自分が気に入った場所中心に

もう一度、一緒に周っていたところだった。

 

ニュージーランドの都市で、一等好きだったのがダニーデン

世界で一番急な坂、という場所がある、街の独特な立体感や、

スコットランドからの移住者が作ったと言われる石造りの建物群。

少し車を走らせれば、海鳥たちが舞い飛ぶ岸壁や、緑濃いエリアがあるのも魅力的だ。

 

ダニーデンを二人でぶらついていると、小道に人がざわざわと集まっていた。

日曜日で閉まっている店が多いのに、ここは何だろう。

 

子どもを連れた家族連れから、おじいさんおばあさんまで。

人の流れは、古めかしい細長い建物へと動いている。

教会だった。

近くへ行ってみると、良かったら寄っていきなさい、とおばあさんに招かれた。

 

教会も石造りだった。

街の中なのだけど、まるで山や牧場の中にあったみたいに、静けさと、

良い意味で感じられる、そこにいる人たちのぼくとつな雰囲気。

 

招いてくれたおばあさんは、気づくと周りにはいなかった。

牧師らしい人のお話が始まった。

少しすると、皆が立ち上がって歌い始めた。

 

意味がわからないながら、私たちも彼らのやっているように

賛美歌を歌い、聖壇を見つめ、このキリストの復活という日を

お祝いさせてもらった。

 

よく「隣人を愛せよ」という言葉がある。

まさかとは思ったけど、教会ではその言葉通り、その場の人たちが

ハグや握手をし始めた。

この日、私と友人はちょっと気後れしながらも、

隣や前にいたおじさん、おばさんたちと、握手や軽めのハグをした。

 

このハグ以外では、思い出せる限り、地味だった、と言う他ない。

行事の流れや人々の様子には、すごく感動した場面も、

写真に撮りたくなるような印象的なところもなかった。

あの時あの場で、彼らの信じる大切な日に居させてもらった、

ということが有難くて、すべてだったのかもしれない。

 

うさぎの謎も、卵の由来につながる体験も、結局できなかったけれど。

友人が時々、とても大切そうに振り返る。

「あの日、教会に入れてもらったよね、私たち」

 

そして現在、2023年4月。

ワークショップのチャットグループ背景に、私が選んだ“イースター”は。

自分だけの画面に反映させるつもりが、なんとグループ全員の画面も

変えてしまっていた。

 

人生の中での仕事について、真面目に情報交換されているグループチャット。

背景に浮かぶのは、女の子が好きそうな、キュートなピンクのうさぎと卵たち…!

 

自分の不手際にさすがに焦ったけれど。

卵もかわいいね、とオープンマインドで受け取ってくれた仲間たちに感謝しながら。

20年前、あの南半球の国で、旅行者でしかなかった私と友人を、

暮らしの一幕に招き入れてくれた人々を、少しずつ思い出す。

 

うさぎと卵を描いてみて、今年は私なりのイースター

 

Nga mihi o te Aranga! は、

ニュージーランドで大切な出会いをくれた、先住民マオリたちのHappy Easterです。