narrative voyage ~旅と今ここを見つめて

多様な世界を感じるままに。人が大切な記憶とつながっていくために。

この空の向こうに① ― 春風とサラダ

 

ー おととい2023/4/7 (木) の日記より

 

今日も風が強い。春一番なんてもんじゃない。

子どもの頃、キャンディーズも歌っていた、のどかな甘酸っぱい世界は

どこへ行ったのか、ずっとずっと豪速で、殴ってくるぐらいの強い風だ。

 

家の中に居られて良かったと思う天気。

外では休みなしに働く土木業者の音が聞こえる。

安全で作業できますようにと、心から思う。

 

昨日から甘夏みかんを3個もむいて、季節限定サラダの準備。

 

正直、皮の硬い柑橘をむくのは、なかなか面倒。

でも、母が作っていたこのサラダの再現には、毎年、

妹と私のどちらかが、自然と着手する。

 

皮をむいた甘夏、千切りキャベツ、オーガニックレーズン。塩少々。

これらをmixして冷蔵庫に一日も置けば、

レーズンの甘みと甘夏の酸味、キャベツ(やわらかい春キャベツに限る)

の草原のようなさくさく感が、美味しいサラダになってくれるのだ。

 

“春”キャベツを思うと、“春”一番も同じ季節の仲間として、やっぱり大切で。

外に吹く風はどうあれ、いつまでも私たちの中に存在して、

春を語ってほしいと思ってしまう。

 

この数年、季節問わず吹き荒れるようになった風。

風といえばほぼそのイメージか、災害的に感じてきたかもしれない、

この頃の子どもたちを思う。

 

いま外を吹くこの風が、もう春一番ではないとしても。

めぐり来る季節の新しい芽吹き、陽ざしの温かさ、

自然が与えてくれる豊かな味を、

子どもたちが、心いっぱい感じられたら。

 

自分を守ってくれたマスクも手放して、友だちの笑った顔に、

笑い返したり、冗談を言ってみたり。

そんな春が、彼らにはよく似合う。

 

 

風はまだまだ強いけど、空は明るい。

 

甘夏サラダの完成に向けて、春キャベツを買いに。

花粉症持ちの大人は、マスク姿で。

 

でも風の中、今日は空を見上げて歩いてきます。